浄土宗 正因山 上福寺さまより掛軸修復依頼を承りました。
大切な寺宝の修復依頼ありがとうございます。
本紙の折れ・金泥の剥落・宗派紋裂地仕立てを時間をかけて丁寧に修復致しました。
浄土宗の五重相伝
浄土宗の最も重要な法要の1つで、
お念仏の教えを初重から第五重まで五段階に分けて相伝する法会
で使用する掛け軸の仕立て直しをご依頼いただきました。
5日間をかけてお念仏の御教えを伝授していただく、
最大最高の法要の一つです。
数年から数十年に一度しか開催されないため、
参加できる機会に恵まれること自体がかなり希だそうで、
今回ご依頼いただきました上福寺様では予定では約10年後だそうです。
浄土宗に秘密の御教えはなく、ただお念仏を称えるのだそうです。
五重相伝ではお念仏を称えることとお説教を聴くことを繰り返し、
毎日お念仏を称えられる人になることを目指します。
満行すると、仏教徒ならびに念仏者となった証に戒名を授与していただきます。
仏さまの弟子となることを誓いますので、
新たなお名前として生前に戒名をいただけるのです。
戒名の位号に「禅定門」(男性)「禅定尼」(女性)がつき、
「空」などの誉号がつきます。
初重には法然著と伝えられる『往生記』、
法然の往生記はもともと題名が無かったので「無題記」と呼ば れてたそうです。
二重には弁阿の『末代念仏授手印』、
法然上人源空の高弟弁阿が、源空相伝の念仏往生の正義を記したもの
三重には然阿良忠の『領解末代念仏授手印鈔』、
師聖光上人の撰述された『末代念仏授手印』(『授手印』)こそが、
宗祖法然上人の教えを正しく受け継いだ書であって、
良忠上人も『授手印』を相伝され、ご自身の「領解」を記したのが
この『領解抄』である、と述懐されている。
四重には同著『決答授手印疑問鈔』、
聖光『授手印』について在阿が抱いた疑問に対して良忠が答えたもの。
五重には玄忠曇鸞大師所伝の凝思十念の法
十念の称え方である「凝思十念の伝」が伝灯師から参加者に対して
口授心伝(口伝)によって相承される
五日間かけてお説教を聴き、お念仏や礼拝、勤行を行います。
期間中毎日「回向」の時間があり、ご先祖やご縁のあった先亡霊位の追善供養を行います。
途中が抜けると相伝が成り立たないので、
五日間を通して全日程に参加しなければいけないので
人生に一度ないし二度程度の参加の機会があるそうです。